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徳之島ノート

2013.8.29

徳之島ノート No.11「アオウミガメがやって来た」

 

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ウミガメの産卵にようやく立ち会うことが出来た。夕暮れの面縄の浜辺で、母ウミガメや孵化した子ガメとの出会いを待ちながら海を眺めて過ごしたのは5回を下らない。

半月が東の空に上ってくる24時半頃、ウミガメが浜に上がって来たとの情報が入った。満潮の時刻は23時28分だったが、カメが浜に来たのは20時半頃だったという。それから産卵するまで4時間以上、陸側の砂浜をあちこち掘り起こして産卵場所を探していたらしい。砂浜の波消しブロックが並んで砂の下は直ぐにコンクリートがあるために、産卵のために必要な深さ1㍍近い穴が確保出来ないのである。こうした現在の浜辺の状態がウミガメの産卵に、いかに大きな障害になって来たのかを初めて知った。

上陸したカメは甲羅の長さ96㌢のアオウミガメであった。ようやく産卵が始まったのは日付が変わった1時半頃で、それまで、観察する人々は夜空の下で遠くからじっと静かにその時を待っていた。自ら掘った砂の穴にピンポン球のような白い卵を100個ほど産み始めた。産卵が始まると観察者が写真を撮っても問題は少ないようなので撮影させてもらった。産卵し終わると手足のヒレで砂をかけて卵を穴に埋める。これが驚く程慎重で念が入っている。アオウミガメ特有の、両ヒレ同時にかく痕跡を砂浜に残しながら海に帰っていったのは産卵開始から1時間半を経過していただろうか。浜に上がってから6時間もの生命の営みであった。

星空の下、海辺でのウミガメの産卵の光景は感動というありふれた言葉ではとうてい及ばない衝撃を与えてくれた。面縄の祖父の家があった目の前の砂浜で、こうした営みが太古の昔から、ずっと続けられてきたのだと思うと、さらに言葉が出てこない。宮本隆司・記

Photo © Ryuji Miyamoto 2013