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徳之島ノート

2014.1.20

徳之島ノート No.14「線刻画」

線刻画5O8A1943

 

徳之島には島内数カ所の岩に線刻画がある。天城町戸森、三京、徳之島町母間、伊仙町馬根と犬田布岳にも残されている。金属製の道具を用いたのであろう、鋭い先端による簡潔な線を岩に刻み込んだ造形である。舟、槍や矢のようなカタチ、線が幾重にも交錯した図像が見受けられる。だがこれらの線刻画が制作された年代、制作者、刻んだ理由は不明である。

線刻画はペトログリフ、岩石線画、岩面彫刻などと呼ばれ、岩や岩壁に人や動物、舟などが刻まれて世界各地に残されている。ユネスコ世界遺産の北欧スエーデン西部、オスロ湾のタヌムの広範囲の岩に刻まれた線刻画群は青銅時代のものらしい。

戸森の岩に刻まれた線刻画で、まず最も印象に残るのが帆を張った舟のカタチである。帆の位置が微妙だが、2~30人は乗れる木造船にも見えてくる。だが、これだけ自然豊かな島なのに動物や魚、亀などの生物が描かれていないのが不思議である。これらの線刻画は、さほど古い時代のものではないのかもしれない。

それにしても岩に刻まれた線刻画が、どうして徳之島に存在するのだろうか。誰が何のためか分からないが、岩の表面に思い描いた形を岩に刻み込もうとした古代の人が確かにいたのである。絵を描くことは人間の本能であるが、岩に図像を刻むには強い意志と持続力が必要だ。線刻画を眺めていると、岩にカタチを刻んだ遥か昔の人の手の動きが、直に見えて伝わってくるような気がしてならない。宮本隆司